スーダン国軍(SAF)と即応支援部隊(RSF)の戦闘から逃れ、タウィラの避難民キャンプで、水をトラックから汲むエル・ファーシルの避難民の子どもたちと家族(2025年10月27日)準軍事組織の「即応支援部隊(RSF)」に制圧されたスーダン・北ダルフール州のエル・ファーシルで、RFS戦闘員による民間人の無差別殺害や、レイプが報告されている。国連は10月31日、「RSFは10月23日に市内へ大規模侵攻を開始して以来、即時処刑や大量殺害、レイプ、人道支援関係者への攻撃、略奪、拉致、強制退去が行われているという恐るべき報告が多数寄せられている」と警鐘を鳴らした。生存者が語った無差別殺人スーダンでは2023年4月から、スーダン国軍(SAF)とRSFによる内戦が続いており、多くの市民が犠牲になってきた。RSFはエル・ファーシルを10月26日に掌握。世界保健機関は29日、RSF戦闘員が、エル・ファーシルのサウジ病院で患者や付き添い人ら460人以上を殺害したと報告した。RSFは病院での殺害を否定しているが、衛星画像で、医療施設周辺などで遺体が横たわる様子などが確認されている。また、戦闘員が逃げ惑う民間人を殺害する動画や写真もSNSで拡散している。そのうちの一つでは、RSFのアブ・ルル司令官が、命乞いをする市民を射殺したとする動画も投稿されている。【画像】RSFが身柄を拘束したとするアブ・ルル司令官ら戦闘員RSFは通信アプリ・テレグラムで、アブ・ルル司令官を含む複数の人物を逮捕し、調査を開始したと発表した。一方で、エル・ファーシルから50キロ離れたタウィラに逃れた生存者は、避難途中で受けたRSFによる残虐な行為を報告している。ある24歳の男性は、国連人口基金に次のように語っている。「私たちは日曜日に避難を始めました。銃撃や爆撃音が聞こえました。私たちは200人の女性、男性、子どものグループでした」「途中でRSFに遭遇しました。彼らは何も尋ねることなく、私たちを銃撃してきました。地面に横たわるよう命じ、私の右にいた2人の近所の女性が死にました。するとRSFは彼らの車で我々を轢きました」「生き残った人は歩き続けました。65人くらいでした。タウィラに向かう途中、別のRSFのグループと遭遇し15人が殺されました。4つ目の検問所で、彼らは身柄を釈放するためにそれぞれに1000万スーダンポンド払うよう求めました。払えたのは4人だけで、残りは殺されました」「彼らは子どもを殺し、高齢者を殺し、女性を殺害しました。あの場面を説明することはできません。目の前で人が殺されるのは耐え難いものでした」避難した女性をレイプ国連は、RSFの部隊がエル・ファーシルにある大学近くの避難所で少なくとも25人の女性を集団でレイプしたという人道支援団体の報告を伝えている。目撃者は、RSFの戦闘員が女性や少女を選び出して銃口を突きつけた上で暴行したと証言している。2023年にSAFとRSFによる内戦が激化して以来、国連や人道支援団体は女性や少女が性暴力の犠牲になっていると何度も警告してきた。国境なき医師団は、母親を目の前で轢き殺された後、何度もレイプされたという少女の証言を報告している。同団体によると、マサリート人、ザガワ人、フール人などの非アラブ系住民が標的にされている。 ドイツ・ベルリンの外務省前で行われた、スーダンの虐殺を終わらせるよう求める集会(2025年10月31日)食糧や医療品の不足も、エル・ファーシェルの市民を苦しめてきた。ユニセフは、2024年4月から500日以上にわたってRSFに包囲されていたエル・ファーシェルでは、殺害や暴力、性的暴行に加え、深刻な食糧不足による急性栄養不良が急速に拡大していると伝えている。ユニセフのキャサリン・ラッセル事務局長は、「エル・ファーシルにいる推定13万人の子どもが深刻な権利侵害の危険にさらされており、拉致、殺害、傷害、性的暴力に遭ったとの報告もあります」と訴える。国連は、10月26〜29日の間に、エル・ファーシルと周辺地域から少なくとも6万2000人が避難を余儀なくされていると推計しているが、避難者の多くが途中で死亡した可能性もある。NGOのノルウェー難民評議会は、これまでにタウィラに到着したのはわずか5000人余りで、多くの民間人が途中で拘束や、行方不明、命を落とした可能性があると懸念を表明している。「到着した人々は疲労困憊しており、飢えや傷、トラウマを抱えています。途中で武装した検問所や恐喝、恣意的な逮捕、拘留、略奪、性的暴力、嫌がらせなどに直面したと報告されています」と同団体は声明で述べている。エル・ファーシルなどでの残虐行為の報告を受け、イギリス、ドイツ、ヨルダンの外相は11月1日、共同でスーダンでの即時停戦を呼びかけた。内戦ではRSFとSAF双方の非人道的な行為が非難されており、国連のフォルカー・テュルク人権高等弁務官は、紛争当事者に影響力を持つ国々に対し、暴力を即時に終結させるために緊急行動を取るよう求めてる。【画像】RSFが身柄を拘束したとするアブ・ルル司令官ら戦闘員Related...【画像】RSFが身柄を拘束したとするアブ・ルル司令官ら戦闘員スーダン病院で460人超の患者や付添人が殺害される。医療団体は『人間の屠殺場』と激しく非難【画像】8歳の子どもをレイプ「妊娠させてやる」の脅しも。スーダンの紛争で性暴力が武器として使われている...クリックして全文を読む
Sunday 2 November 2025
⁞
