Sunday 18 November 2018
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huffingtonpost - 11 days ago

23歳で子宮頸がんに。アイドル夏目亜季さんが選んだ道

持病のせいで、生理が乱れているのかも。あまり気にしていなかったこの症状が「子宮頸がん」だと分かったのは、まだ23歳の秋だった。アイドルの夏目亜季さん(28)は、5年前の出来事を振り返って明るく笑って言った。「他人事みたいでした。初めて聞かされた時は。でもいまは、これを機に仕事に生きよう、人に伝えていこうと思っています」日本産科婦人科学会によると、国内では年間約1万人が子宮頸がんにかかり、約3000人が命を落としている。2000年以降、患者数も死亡率も増加している。原因は主にHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染。だがウイルスの感染以外に原因がある場合もある。友人の手術で自分の身体も気になった。きっかけは不正出血月経の予定日じゃなくても、ちょろちょろと少量の不正出血が続いていた。17歳のころ、難病の自己免疫性溶血性貧血にかかった。服薬治療をしていたこともあり、月経不順も「薬のせいだろう」と考えていた。この症状はいつからあったか分からないほど、慣れてしまっていた。23歳の夏ごろから、不正出血は重くなってきた。痛みはないが、出血の量も多い。さすがに気になって、高校時代の友人に相談した。「卵巣のう腫で手術したんだよね」と友人は明かした。「この時初めて、子宮や卵巣に起こりえる病気の恐さを目の当たりにした」と夏目さんは言う。すぐに近所のクリニックを探した。これまで、産婦人科に通ったことはなかった。検査を受け、結果が出る前日、クリニックから電話がかかってきた。「明日は、絶対に来院してください」嫌な予感がした。診断結果は「高度異形成」...がんじゃなかった?子宮頸がんの検査は、2段階ある。クリニックで夏目さんが受けた検査は1段階目のものだ。診断結果は、がんとは断定されなかった。がんの前の状態で、細胞が異常化している部分が子宮頸部に全体的に広がっていた。ただ、悪性のがんがある疑いは残っていた。最初の細胞診と言われる検査では、子宮の入り口近くである頸部周辺を、大きな綿棒と、ブラシまたはヘラのような器具を使って少しこすり、細胞を採る。痛みを感じる人はほとんどいない。ただ、夏目さんはこの検査の時点で出血が止まらなかったという。この検査の結果はⅠ~Ⅴ段階で、Ⅲはaとbに分かれている。夏目さんはⅢbの「高度異形成」という状態と診断された。「知り合いのお医者さんからは、『まだがんじゃないよ。大丈夫だよ』と言われた。少しホッとして、次の検査を受けることにしました」2週間後、2回目の検査を受けることになった。この間、安産や子宮に関連する神社のお守りを買い込み、パワースポットを巡って何もないことを祈った。自分の身体に何かが起きている。安心して、と言われても居ても立っても居られない状態が続いた。次の精密検査は、細胞診で異常がある場合、その部分の組織を少し切り取って顕微鏡で診断するもの。これはがん検診の最終診断となる。検査後、出血に驚きながら呼び出された診察室で、言われた一言は今でも覚えている。「お母さん、どこに住んでいるの。あなたはまだ若いから、一緒に親と聞いてもらったほうがいい」これは悪い結果なのか。「もう、その時点でやばいやん。ああ、どうしよう、もう見えてるやん」と思った。ショックで他人事のような気持ちだった。1週間後、京都・舞鶴市に住む母親とともに病院を訪れた。一緒に聞かされた結果は前がん病変どころの話ではなかった。医師は「ⅠB1期です。子宮は全部取らないといけない」と説明。この時のステージ(期)は、最初に受けた細胞診のⅠ~Ⅴ段階の分類とは異なり、さらに別の分類(下記図)で示される。夏目さんは、がんだった。焦る気持ちを抑えて、待合室で知り合いの医師に電話をかけた。「子宮全摘って、まさか言われてしまったんですけど、どうしよう」と言うと、「子宮を全摘出しなくてもいい手術もある」と紹介を受けた。「まだ、子どもを産める可能性を残しておきたい」と強く思った。日本産科婦人科学会の分類によると、ⅠB1期は、がんの病巣が4cm以下のものを指す。分類はⅠ~Ⅳ期まであり、その中でも細かく分けられている。出産をあきらめるということ夏目さんは、子宮を摘出せず、温存する道を選んだ。だが、すでにがんはリンパ節に転移しており、限られた治療方法しか提示されなかった。子どもを産める道を残したい一心だった。一つの選択肢が閉ざされる。それは23歳にはあまりに重い選択だった。卵子または卵巣の凍結をしておきたいと、病院を探す。でも口々に言われるのは「がんがある人は凍結はお断りしている」という言葉。「卵子を取るにも、排卵を待つと時間がかかってしまう。1カ月、治療までの時間が延びれば、それだけ自分の生命に危険が迫ることになるんです。実質、選択肢はなかった」と夏目さんは少し困ったように笑う。提示された方法は、抗がん剤と、放射線での治療だった。手術は、持病が悪化する危険があり、敬遠した。放射線治療は、骨盤部への外部照射と、膣と子宮の中に直接器具を入れて照射する方法を併用する。子宮頸部のがんだけでなく、転移しているリンパ節にも効果がある。しかし、子宮に器具を入れるのは「耐えられないほどの痛み。何度も、もうやめて!痛い!と叫びたかった」という。週に1度、合計で4回の腔内照射に通った。照射の前日には、眠れないこともあった。なぜ、こんな目に合うのか。そして、この治療以上に精神的に追い詰められる出来事もあった。根強い誤解。「遊んでいたんだろう」と非難が殺到子宮頸がんは、HPVの感染が主な原因と言われる。HPVは性行為でうつる。生殖器にあった小さな傷などから細胞に感染する。ただ、HPVは自然界の至る所にあり、種類は100以上。半数は手足に感染し、皮膚にイボをつくることがある。このほか、生殖器や粘膜に感染する型もあり、性行為をしたことのある女性の5~8割の人が、30代はじめまでに少なくとも1度は感染すると言われている。ただ、感染しても9割ほどの人は自身が持っている免疫力によってウイルスを消滅させる。しかし一部の人は感染が持続。細胞の中にHPVが残り、ここからやがて前がん病変である「異形成」という状態に進行する。性行為が1度だけでも、感染する可能性があるのだ。しかし、夏目さんががんを公表した後、ブログには、月に80万アクセスを超えるほどの反響があった。それと同時に、インターネット上には心ない非難の声が吹き荒れた。「遊んでいたんだろう」「ヤリ過ぎ」「処女ならならないだろう」「アイドルなのによく公表したな」日本では、女性アイドルに「処女性」を求める傾向が強い。成人した女性でも、アイドルなら性について知らないでいてほしいという歪んだ概念を押し付けられることが多い。例えば、2018年9月には、ある女性声優の私用スマートフォンの画面が、インターネット番組で映し出されたときに、生理日を予測する「ルナルナ」というアプリが見えた。インターネットの匿名掲示板では【悲報】【炎上】などと見出しがついたスレッドが立ち「生理気にしてるとか間違いなく非処女やろ。ゴミ」「安全日を彼氏に知らせるためか」などとコメントがつき、騒ぎになった。夏目さんは、その格好のえじきになった。ブログには励ましのコメントが多く寄せられた一方で、匿名掲示板には憶測と「子宮頸がんになった人はたくさんの性行為をしている、不特定多数の人とセックスをしている」などといった、間違った知識による攻撃にさらされた。見たくなくても、つい見てしまう。ライブのステージに立っている合間に、携帯電話でのぞいてしまう。ショックでじんましんが出ることもあった。なによりも「親が見てるかもしれない。憶測でこういうことを言うのは、本当にやめて」と泣きそうになった。なんで、がんの治療だけでもつらいのに、こんな思いをしないといけないのか、悩む日々が続いた。ただ、アイドル活動を辞めようとは思わなかった。「かわいそうな人」で終わりたくないがん治療によって、体調が悪くなることもある。治療後には、卵巣の機能を失ったことで更年期障害のような症状が1年半ほど続いた。また、治療中は腸が腫れ、お腹がはっていると思ってトイレに駆け込むと、大量に血が出ることもあった。それでもステージに立った。「大人しくしていようというより、このまま引き下がるのは嫌だって思ったんです。病気で引き下がるのはイヤ。なんでしょうね、『かわいそうな人』で終わりたくなかった」いまでも再発の心配はつきまとう。数値が悪ければ、気になって背中がひやりとすることもある。「がんになって思ったのは、この経験を伝えていかないといけないということ。私の周りの同年代の人たちも、どこか他人事で実態を知らない。子どもを産めなくなるかもしれない。すぐ治るんじゃないか、がんと言っても軽いものなんじゃないの?なんて思っている人もいる」そして何よりも「将来を失う怖さがある病気だと、伝えたい。定期的に検査することや、好発するHPVの型に効くワクチンがあるということを、しっかり知識として持っていればと思う。そして、こういう話を当たり前の話としてできるような社会になってほしい」と願う。子どもはもう産めない。仕事に生きよう、とも思っている。でも、将来もし人生のパートナーを見つけたら、家族になるかもしれない。特別養子縁組で、育ての親になることもあるかもしれない。「一つの道は断たれた。でも、人生の希望はあります」と夏目さんは語っている。数か月間の治療期間を乗り越え、がんは寛解した。再発はしていない。がんの発覚から5年が経った。いまも、アイドル活動を続けている。10月26日の誕生日には、1stアルバム「DEPPAヒーロー参上!」も発売した。今後も、アイドル活動をしながら、講演会などで子宮頸がんについての知識を広めていこうと思っている。若年化する子宮頸がん国立がん研究センターによると、子宮頸がんは20代後半~40歳前後に好発するがんだ。若年化も進んでおり、20~30代でり患率が急増している。子宮頸がんの検査率も、日本は先進国の中でかなり低い。2016年の国民生活基礎調査によると、20歳以上の女性で、過去2年のうちに子宮頸がんの検査を受けたことがあると答えたのは35.6%。OECD加盟国の中でも最低水準となっている。検診率は、アメリカやイギリス、フランスでは70~80%で推移している。「検診を受けなくても大丈夫」「高齢になってからの病気」などといった誤解も根強く残る。HPVワクチンについても、2016年に副反応訴訟が起きて以来、様々な意見が出たものの、不確かな情報も多く「怖いもの」として敬遠されたまま、議論は深まっていない。11月8日に子宮頸がんサミットこうした状況を踏まえ、11月8日には子宮頸がんを取り巻く状況について知ってもらうためのイベント「子宮頸がんサミット」が開かれる。11月の子宮頸がん啓発月間に「ファクトはなにか、どうしたら正しい情報や予防方法を選びとっていけるのか」など、国内外の20代の若者が子宮頸がんについてディスカッションを行う。「子宮頸がんサミット 2018」~啓発月間を機に国内外の若者と「子宮頸がん」について考える~日時:2018年11月8日(木) 13:00~15:00場所:衆議院第一議員会館国際会議室(東京都千代田区永田町1丁目7番1号)関連記事 高橋メアリージュン、子宮頸がんだったことを告白 子宮頸がんワクチン推奨中止で、保護者にとまどい広がる「うつ?うたない?」 声優・桑島法子は挑み続ける、自分にしかできない表現を。きっかけは「アイドル声優」への疑問だった 小倉智昭さん、膀胱がんで全摘出手術へ【コメント全文】 ハフポスト日本版では、「女性のカラダについてもっとオープンに話せる社会になって欲しい」という思いから、『Ladies Be Open』を立ち上げました。女性のカラダはデリケートで、一人ひとりがみんな違う。だからこそ、その声を形にしたい。そして、みんなが話しやすい空気や会話できる場所を創っていきたいと思っています。みなさんの「女性のカラダ」に関する体験や思いを聞かせてください。 ハッシュタグ #ladiesbeopen#もっと話そうカラダのこと も用意しました。 メールもお待ちしています。 rArr;ladiesbeopen@huffingtonpost.jp ハフポストの最新記事はこちら。

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