Saturday 15 June 2019
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huffingtonpost - 11 days ago

「俺はそこまで落ちちゃったの」うつ病で退職、ひきこもり。あの時感じた「挫折感」を事業に。

「何度でもやり直せる社会をつくる」そんな理念で、福祉や教育の分野で事業を展開するキズキグループ代表の安田祐輔さん。4月には、発達障害やうつ病などの精神障害で離職した若者の就労支援を行う「キズキビジネスカレッジ」を開校した。安田さんは、自らが手がける事業に共通する信念を「他人と比較することで苦しみを感じる人を減らすこと」「人間の自尊心を守ること」だと話す。「僕は、人間って結局、他人と比較することで不幸になると思うんです。人はそういう『自尊心』によって生きているんだと 」安田さんがこう語る背景には、自らが味わった「挫折感」があったーー。「俺はそこまで落ちちゃったの」安田さんはICU(国際基督教大学)を卒業後、新卒で総合商社に入社。しかし4ヶ月も経たないうちにうつ病になり、1年間の休職の後退職した。同じころ、発達障害の診断も受けた。安田さんにとっては、「朝定時に出社し、一斉に昼休みを取る」というように会社が決めた時間に合わせて働くことや、業務の中で時には自分の信念を曲げなければならないことが、大きな負担となってしまった。「『同期が海外出張に行った』なんて話を聞くと、とても辛くて。『みんな、めっちゃ活躍しているのに自分は布団に引きこもっているわ。自分は本当に何をしてるんだろう』って落ち込みました」安田さんは、ひきこもり状態だった休職中のことをそう振り返る。転職活動も始めたが、給与が大幅に下がる仕事しかなかった。その事実に、安田さんのプライドはひどく傷つけられる。「『自分は大卒なのになぜ 』と感じました。すごく失礼な表現だけど、『俺はそこまで落ちちゃったの』って」会社の同期からどんどん引き離されていく情けなさ、そして「もう一度やり直す」チャンスが与えられない悔しさや絶望ーー。そんな経験が、キズキビジネスカレッジの原点となっている。当事者の「自尊心」を担保する支援を安田さんはこれまでの福祉・教育の事業の中で、自分と同じように、発達障害を抱えていることで職場で上手くいかず、うつ病などの精神障害を抱えてしまう人を見てきた。なかには高学歴で高いスキルを持つ人もいたという。 しかし、安田さんによると、発達障害の当事者を対象にしたこれまでの公的就労支援は、単純作業や軽作業を行う仕事を前提とした職業訓練が多いという。「発達障害の当事者でも、選ばなければ仕事に就ける人もいます。でも、大学でしっかり勉強していたり、ある程度キャリアを積んできたりした人にとって、転職先が単純労働というのはやはり自尊心が傷つく時もある。僕自身がそう思っていたように、『障害を持っていたって、キャリア築いて生きていきたい』って思う人は沢山います。これまでの福祉は、そういうニーズに目を向けてこなかったように僕は思うんです」と安田さんは話す。キズキビジネスカレッジでは、こうした「ビジネスキャリアを積みたい」と願う発達障害の当事者が、プログラミングや会計、ファイナンス、マーケティングなどのビジネススキルを身に付けながら、再就職や起業の準備をすることができる。「うつ病の回復のためには自分を取り巻く状況を変えることが大事」と安田さん。キズキビジネスカレッジで将来へ向けて前向きに歩み出すことで、自分を取り巻く状況を少しずつ変え、「自尊心」を回復してもらうことを願う。「自分は劣っている」と思い込んでいる人に「人と比較しない生き方」を勧めるは難しい「まわりは順調に働いているのに自分はひきこもっている」「高卒で大学に行かなかった」 安田さんは、「人はこうした他人との比較によって自尊心を満たしている」と話す。しかし、「他人との比較で苦しむ人」が「自尊心を回復する」にはどうすれば良いのか。他人との比較の中で努力することに意味はあるのか。そんな疑問も湧いてくる。「もちろん、人と比較しない生き方がベストです。でも、周りと比較して自分自身を『かなり劣っている状況にある』と思い込んでいる人に『人と比較するな』と言っても、なかなか難しい。だから、まずはそこで努力してある程度自尊心を回復しないと、『比較しない生き方』ってできないような気がします。自尊心を回復して初めてやっと『人と比較した生き方は良くないな』『自分らしく生きよう』と前に進めるんだと思うんです」安田さんはそう語る。思い込みを変えるきっかけの場に求職中の社会人を主な対象としているビジネスカレッジ以外にも、2011年からサービスを開始した「キズキ共育塾」では、不登校・中退の若者の学び直しや受験を支援している。安田さんによると、不登校や中退の若者には、自信を喪失し未来を諦めてしまっている人が多いという。「10年間引きこもっている自分が大学に行けるわけがない」「自分なんて何をやっても無駄だ」と将来を諦め、「生きている意味がない」と思い詰める人もいる。キズキ共育塾ではこれまでそんな相談を多く受けてきた。 「でも、『10年引きこもりだったから大学に行けない、就職できない』っていうのは、エビデンスがあるわけではないので全く論理的ではないですよね。単純に本人や周囲の『思い込み』なんです。確かに進学や就職が難しくなるかもしれませんが、不可能ということはないんです」安田さんはそう話す。キズキグループには、長期間のひきこもり経験のあるスタッフも多く働いているという。キズキ共育塾では、当事者とこうしたスタッフとの出会いも大切にしている。たとえば、相談にきたひきこもりの当事者の方に「うちでアルバイトしていた○○さんは、25歳で大学行って、その後普通に就職したよ」と話すことがある。そうすると、当事者の反応がだんだんと変わってくるという。「『自分は人生終わったと思ったけど、そんな訳ではないのかな』というように、第三者の働きかけによって思い込みを変えていくプロセスが大切です」と安田さん。「キズキ共育塾やキズキビジネスカレッジのような場所の存在自体が、当事者が『不登校だろうが発達障害だろうが、そこで人生を諦める必要はないんだ』と気づく『きっかけの場』となってほしい」と安田さんは希望を語った。


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