Monday 17 February 2020
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huffingtonpost - 5 days ago

「“選別”という発想に、優生学につながる恐ろしさがある」映画『AI崩壊』の入江悠監督に聞く

1月31日(金)から公開された映画『AI崩壊』。ポスタービジュアルのキャッチコピーに「その日、AIが命の選別を始めた。」という言葉があるように、現代社会と人工知能(AI)がどう共存していくか、そしてそこにどんな問題が存在しうるかということがテーマとなっている。エンターテイメント映画でありながら、現代社会ともリンクしたサスペンス超大作だ。 「オリンピック後の世界はどうなっているんだろう」監督と脚本は、2009年公開の映画『SR サイタマノラッパー』で広く知られることになり、近年は『ビジランテ』(17)で地方都市のリアルを、『ギャングース』(18)では、社会の底辺で生きる若者たちを描いてきた入江悠が務めている。 「自主映画を撮り始めたころから、社会の中で生きている人を描きたいということは変わってないんですよ。もちろん、モチーフが変わったり、どの視点から見るかということは変化したりしたかもしれないです」そんな入江監督が、今回の題材に選んだのは人工知能(AI)だった。2030年という近未来の日本を舞台に、AIが人々の生活の中に普及した社会を描く。「世界的には人工知能を題材にした先行する映画として、『ターミネーター』や『2001年宇宙の旅』や『her/世界でひとつの彼女』もありましたが、日本で人工知能についての映画を作るには、日本映画で製作する意義が必要だと思いました。そして、脚本を書く段階になり、オリンピック後の世界はどうなっているんだろうと思うようになったんです」この映画で描かれる2030年の日本社会は、多くの人々の生活は、AIが普及したことにより便利になっているようにも見える。しかしその裏で、地方都市の人々は新しい制度に取り残されている現実が描かれていた。そしてAIが普及し職を奪われたことに対して、デモを行ったり、反対したりする人々も描かれる。 「やっぱり、2030年の日本が、経済的に各段によくなっているということはないと思いました。少子高齢化、老々介護なども進んでいて、取材を重ねて予測した結果、映画のような世界観になりました。もちろん楽観視はしていないですね」 『AI崩壊』が描く、「命の選別」の恐ろしさその中で、医療AIの役割として大きいのは、ひとりひとりの健康管理である。脈拍や血圧などを細やかにチェックしてもらえ、安心な社会になったようにも思えるし、AIを管理・運営する企業はそのデータの管理にも細心の注意を払っている。しかし、それが絶対と言えないのは、我々も数々の災害などの経験から知っていることである。 そして、この映画は、単に「AIの暴走」を描いているわけではなく、それ以外のものも描いている。ひとつは、人間同士のコミュニケーションはどんな時代がきても普遍性があるということ。そしてもう一つは、命の選別をするのは、何も暴走したAIだけではないという恐怖である。「やっぱり、『選別』っていう発想自体に、優生学につながる恐ろしさがあります。個人のデータが管理されているということも怖い。でも、それってテクノロジーが進化することで出てくる矛盾だと思うので、監視社会と僕らがどう向き合ったらいいんだろうという問いがありました」 「日本映画はこのジャンルは負けている」人間ドラマの部分を見せるのが、大沢たかお演じる画期的な医療AI「のぞみ」を開発した天才科学者の桐生浩介である。 「大沢さんが最後に言うセリフについては、その撮影の直前まで考えましたし、大沢さんにも、何パターンかを実際に演じてもらったりしました。大沢さんが演じる桐生浩介とその娘の心ちゃんとのお芝居の部分は、人工知能(AI)と共存する社会になっても、失ってはいけないところだと思います」一方、サイバー犯罪対策課を指揮する警察庁の理事官・桜庭誠を演じる岩田剛典が、これまでとは違うキャラクターを演じていることにも目がいった。「本人も、今までとは違う役を演じられたと言ってましたね。でも、彼の発言もスマートだし、上品な雰囲気もあって、『これはただものではない』と思っていたんです。そんな存在感も今回の映画でいきるんじゃないでしょうか。現場に入って話してみると、岩田さんがすごく映画が好きなのもわかったし、プロの俳優としての熱意を感じたので、心の中で握手ができた感じがしましたし、だからこそ、とことん演出したいと思いました」このほか、この作品は、昨今の日本映画では珍しく、監督自らが構想し、脚本を書いたオリジナルのサスペンス超大作だということも特筆すべき点だろう。「本作は北島直明プロデューサーと作った『22年目の告白-私が殺人犯です-』(2017年)という映画がヒットしたからこそもらえたチャンスでした。映画監督は、一作品一作品が勝負で、結果が出ないと次の打席に立てない。念願だった逃亡劇、近未来ものに挑戦できたのはラッキーなことでしたね」 昨今は、海外作品を見ても、エンターテインメント作品に社会問題のテーマを重ねた作品というものは多い。しかし、日本ではまだまだこうした作品は少ないと感じるが、そんな日本の状況についてはどう考えているのだろうか。 「製作側の問題もあれば、鑑賞する方が何を求めているかということもありますから難しいですね。知っている漫画や小説の映画化が観に行きやすいという方も多いと思うのですが、もっと現代社会の問題を反映した映画を観たいというのが個人的にはあります。ハリウッド映画や韓国映画は実話ベースの作品などへも果敢に挑戦していますよね。日本映画はこのジャンルは負けていると思います。なんとか追いつきたいですよね」これまでにも様々な社会的テーマに取り組み、今回は人工知能(AI)とどう向き合うかを描いた入江監督。次なる興味は何だろうか。「作りたい映画は数えきれないほどあります。子供時代に観て楽しかった記憶を追っていたり、生きるのがしんどいなって思ったときに助けられた思いを今の時代にどう映画として描くかということを考えたりしています。もちろん、自分に打席が回ってきたときに打てるように、常に脚本を書いて準備もしています。そんな中で今の興味はというと、今後もまだ人工知能(AI)については引き続き追っていきたいなと思っています。もう少し未来に行くと、人間の脳をコンピューターにコピーしたり、遺伝子工学などで知能を拡張したりすることもあるかもしれません。こうしたことは、ハリウッド映画では描かれていますが、日本映画でどう描くか、ということは今も考えていますね」映画『AI崩壊』監督:脚本:入江悠(『22年目の告白―私が殺人犯ですー』)出演:大沢たかお 賀来賢人 岩田剛典 広瀬アリス 髙嶋政宏 芦名星 玉城ティナ 余 貴美子 松嶋菜々子 三浦友和配給:ワーナー・ブラザース映画


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